SUI

南海沿線にある漁港および周辺地域の魅力を伝えるウェブマガジン

漁港内の人気店で堪能する、
大阪湾でとれたての海の幸

2015.08.31

最寄り駅:南海本線 吉見ノ里駅

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「田尻に新鮮な地魚を安く食べられる店がある」という話を知人から聞いた。それも毎日魚が水揚げされる田尻漁港の中にあるのだという。

よくよく考えてみると、大阪育ちでありながら大阪湾の魚を食べた記憶がない。いや、実際には気付かずに食べているのかもしれないが、どれぐらいおいしいのか想像すらできない自分がいた。

これは魚好きとしては、ぜひとも行ってみなければ。そんな興味にかられて、その店『寿司屋 にし川』へ出かけてみることにした。

わざわざ車で訪れる人が後を絶たない名店

平日の田尻漁港は人の姿もまばらで、静かに時間が流れている。穏やかな波に合わせて小さく浮き沈みを繰り返す漁船を眺めながら、港に隣接する建物内を歩いていくと『寿司屋 にし川』がある。

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ゆったりとした店内を見回すと、壁にはたくさんのお品書きが書かれていた。メインの寿司はもちろん、旬の魚の一品料理、昼の定食や丼などメニューも豊富で、中には泉州で「ガッチョ」と呼ばれるネズミゴチの唐揚げなど、珍しいメニューも並ぶ。

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お昼時だったこともあり、さっそく、お店がすすめてくれた「にぎわい丼」(1,600円)を注文した。

一体どんな料理なのだろうか?楽しみに待っていると、大きなアナゴの天ぷらと、シャコの塩ゆでがひときわ目立つ丼が運ばれてきた。

丼の中を見てみると、海の幸のにぎやかなこと!マグロの赤身、トロ、タイ、エビ、イカ、ホタテ、さらにウニ、イクラまでが惜しげもなくトッピングされている。そして汁碗の具材は夏の今が旬のハモと、まさに昼から贅沢づくしである。

豪快な丼で大阪湾の魚介を堪能

 “田尻漁港の名物といったら、まずはアナゴやね。大阪湾の内海で育つから脂がよくのってるし、身が厚くておいしいねん。”

店主の西川浩司(にしかわ こうじ)さんは、この店を始めて15年。それ以前は魚の卸を仕事にしていたという、魚の目利きの達人である。

さっそく、アナゴの天ぷらにかぶりつく。よく肥えたその身はしっとり、ふわふわと柔らかく、淡白ながら味わうほどに旨みが口の中に広がっていく絶品だ。

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シャコ、イカ、タイ、そして吸い物のハモも大阪湾で獲れたもの。特にタイやイカのコリコリとした食感、そして甘みには、漁港の寿司屋ならではの鮮度の良さを感じずにはいられない。

ちなみに、にぎわい丼の具材は季節やその日の漁の収穫魚によって変わるとのこと。田尻漁港を訪れるたびに、このお店でさまざまな魚介の味わいに出会えることもまた、楽しみのひとつになりそうだ。

獲れたて、さばきたてが、何よりのごちそう

『寿司屋 にし川』で出される魚は、田尻漁港内にある鮮魚店で仕入れているそうだ。漁で揚がった魚が並ぶ魚屋から、まだピチピチと生きている状態で店に持ち帰り、丁寧な仕事でさばかれる。

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 “捕れたての魚は手を加えんでもおいしい。だから料理で特に工夫してることはないよ(笑)。その日に捕れた魚をその日にさばいて出すことがお客さんへの何よりのサービス。それだけは絶対に裏切られへんなぁ。”

歯に衣着せぬ西川さんの言葉は聞いていて気持ちがいい。

ちなみにお店では、夜にはコース料理も用意されている。夏にはハモ、冬にはフグなど、旬の魚が鍋や一品料理で余すことなく食べられる。値段も驚くほどリーズナブルだ。また、町の市場で見かけることのない珍しい魚があることもしばしば。お店に出かけた際には、ぜひ西川さんに「おすすめの魚は?」と聞いてみてはいかがだろうか?そこにはきっとまだ出会ったことのない、大阪湾の美食の世界が広がっているはずだ。

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<ヨットのプロ…田尻漁港の記事泉佐野発 伝説…>

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寿司屋 にし川

大阪府泉南郡田尻町りんくうポート北1番地
最寄り駅:南海本線 吉見ノ里駅より徒歩約10分
[営業時間]平日/11:00〜14:00、18:00〜21:00 日曜/ 7:00〜14:00、18:00〜21:00
[定休日]水曜日
TEL : 072-465-2468