SUI

南海沿線にある漁港および周辺地域の魅力を伝えるウェブマガジン

泉南市役所職員と市民グループ等による
新たな挑戦(後編)

2015.11.04

最寄り駅:南海本線 岡田浦駅

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(→前編はこちら)

りんくうタウンの「海」をテーマに、泉南市の魅力を発信する取り組みとして、大阪ミュージアム構想にも認定されている「りんくう海道ブルーツーリズム事業」。そのコンセプトは、美しい海の保護活動を夏のイベントとして楽しむことである。

その一環として行われている「サンセットフェスタ」は、真っ白な大理石の玉石を敷きつめた、美しいマーブルビーチを背景に行われ、ブルーツーリズムの中でも、とりわけ多くの人たちが、心待ちにしている催しだそうだ。
後編となる今回は、今夏に開催された「サンセットフェスタ」に携わる市民グループの姿に迫ってみようと思う。

泉南市の魅力が随所に詰まった「サンセットフェスタ」

「サンセットフェスタ」のスタートは午後5時から。その前には、有志の市民によるマーブルビーチの清掃が行われる。この日、清掃に参加したのは、子供から年配の方までおよそ300人。みんなではしゃぎながらゴミを集める姿は、まるで宝探しをしているかのように楽しそうだ。
会場に流れているのは、軽快な音楽とともに泉南市をPRしたFMラジオ番組。これから始まるイベントを盛りあげる効果もバッチリである。

少し雨が降る曇り空のなか、市民グループによる「泉南太鼓」の重厚な和太鼓の音色とともに、いよいよ「サンセットフェスタ」が始まる。
美しいビーチをバックにしたステージでは、子供たちによる元気いっぱいのチアダンス、ミセスから小さな子供までが登場するフラダンスのショーなどが続き、それらを見物しようと会場に訪れる人の数もどんどん増えてきた。

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会場に漂う香ばしい香りは、岡田浦漁協による屋台から。特産の泉だこを使った唐揚げなどが販売され、たくさんの子供たちがおいしそうに頬張っている。
泉州里芋を原料に手がけた「さといも焼酎 せんなん」を使ったカクテルの試飲コーナーも人気で、こちらでは、大人たちが会話に花を咲かせている。

ステージを楽しみ、日も暮れた頃「ウミホタルの観察会」が、まだ未体験の人に向けて再度行われ、その幻想的な蒼い光がエンディングを締めくくる。
こうして、泉南市の魅力がふんだんに盛り込まれた「サンセットフェスタ」は、帰路へと向かう人々の笑顔とともに幕を閉じるのである。

「マーブルビーチ」の美しい夕陽に魅せられて

今から8年前、「サンセットフェスタ」を立ち上げたのは、「SENNANまちづくり市民会議」。平成9年に設立された市民団体で、現在は、20代から70代まで、11名のメンバーが集まって泉南市のまちづくり活動を行っている。

「りんくう海道ブルーツーリズム事業」の認定から遡ること7年前。「サンセットフェスタ」は、どんな背景から生まれたのだろう?「SENNANまちづくり市民会議」の代表を務める森広浩允(もりひろひろみつ)さん(75歳)に話を伺った。

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“「サンセットフェスタ」をやりたいと思ったのは、マーブルビーチから見た夕陽の美しさに感動したことがきっかけなんです。
ここ、マーブルビーチは、全国の名所の中から「夕陽百選」に認定されているほどなんですよ。それにプロポーズにふさわしいロマンティックなスポットとして「恋人の聖地」にも選ばれているんです。
若い人だけじゃなくてね、人生について悩んでいる人も、ここに来てじっくり夕陽を見ていたら、きっと明日の元気につながると思いますよ。それぐらいここからの眺めは素晴らしいから。”

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そうして始まった「サンセットフェスタ」は回を重ねるごとに吸引力を増し、ビーチの清掃に参加する人や、ステージでのショーに出演したいというグループがどんどん増えてきたそうだ。

 “何よりも嬉しいのは、ビーチの清掃活動に参加してくれる子供や若い人たちが増えたこと。未来の環境を守っていくのは彼らでしょ。今のうちから環境問題に関心をもつ若者が増えることは頼もしいばかりですよ。”

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まちの資源を守り 育て 伝承する

泉南市には、森広さんたちのグループ以外にも多くの市民団体がある。それぞれが協力し合い、さまざまな自然保護活動を行っているそうで、彼らの連携力や行動力が、さらに魅力あるまちづくりを守り立てている。

 “泉南市の海沿いはとても自然環境が豊かなんです。岡田浦近くの海には珍しいウミホタルが生息しているし、砂浜にはハマヒルガオが群生しています。
男里川の河口には貴重な自然の干潟が残っていてね。そこにはハクセンシオマネキというカニがたくさんいて、渡り鳥の中継基地にもなっているんですよ。そんな場所をみんなで清掃して、広く伝えていくことで、大切な自然の資源を守っていきたいんです。”

また、まちに新しい文化を創造するという取り組みも行われている。「サンセットフェスタ」のオープニングを飾った「泉南太鼓」は、森広さんたちの提案から生まれたものである。

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 “今から12年前に、文部科学省の助成事業で「まちづくりモデル事業」というのがあってね。市役所と相談して、泉南市に新しい文化を創るプランを持って行ったんです。
最初は、先生を招いて太鼓の打ち方を教えてもらうぐらい、みんな何もできなかったんですよ。そしてようやく「泉南太鼓」がスタートして、今年で10年目を迎えました。現在は、小さな子供からシニア世代まで、およそ30名のメンバーが集って、さまざまなイベントで活躍してくれています。
これからも継続していくことで、いつかは泉南の伝統芸能と呼ばれるようにすることが目標なんです。”

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まちの資源を守っていきたい。そして未来のために、新たな資源を創っていきたい。「サンセットフェスタ」をはじめとする、「りんくう海道ブルーツーリズム事業」の取り組みは、そんな、市民たちの熱い想いが原動力となって実現したのである。
泉南市の魅力を発掘し、育て、そして発信していく活動は、これからも、さまざまなアイデアをカタチに変えながら、次の世代へと受け継がれていくことだろう。

<岸和田発、生… 岡田漁港の記事「大阪産」の…>

okada

りんくう海道ブルーツーリズム事業

URL:http://www.city.sennan.osaka.jp/seisaku/museum/rinkuukaidou.htm