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南海沿線にある漁港および周辺地域の魅力を伝えるウェブマガジン

港の風景に溶け込むアンティーク家具
ショップ 〜COACHELLA HEAD〜

2016.01.20

最寄り駅:南海本線 湊駅

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南海本線「湊駅」から西へ10分ほど歩くと、工場や物流倉庫の間にぽっかりと開けた、小さな入り江にたどり着く。そこはヨットハーバーを併設した出島漁港。夕暮れ時には静けさに包まれ、ここが堺のコンビナートエリアであることを忘れてしまうような郷愁を感じる港だ。

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「COACHELLA HEAD(コーチェラヘッド)」は、そんな漁港のそばに建つ古いビルの3階にあるアンティーク家具ショップ。いくつもの大きな窓から漏れてくるノスタルジックな灯りに誘われて、ふらりと店へ足を運んでみたのが、この店との最初の出会いだった。

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古き良き時代の魅力があふれる店内

テーブルやイス、書棚やキャビネットなどのアンティーク家具が所狭しと並ぶ店内は、約50坪とかなりの広さ。
この店では家具の年代やテイストごとにコーナーが作られており、テーブルの上に置かれたグラスや灰皿、キャビネットに飾られた置物までがトータルにコーディネートされていて、ひと昔前の異国の人々の暮らしが、そこに息づいているようにさえ感じられる。

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ビルの外からも人を魅了する温かみのある灯りは、天井や窓際に無数に飾られたランプから放たれたもの。きれいな色ガラスのペンダントトップや繊細な細工が施されたシャンデリア、美しいシェードを纏ったテーブルランプなど、どれも職人の技が生かされた、今の時代にはない個性的なデザインだ。

また、パブミラーや置き時計などのインテリア小物からゲーム版や文房具まで、ありとあらゆるアンティーク雑貨がそこかしこに置かれているのも楽しくて、一度足を踏み入れると、お宝探しに夢中になって時間が経つのも忘れてしまうほどである。

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アメリカでアンティーク家具を直接買い付け

「COACHELLA HEAD」を経営しているのは、竹内亮(たけうちりょう)さん(32歳)。大阪市内のアンティーク家具店から独立し、昨年の4月にこの店をオープンしたのだという。

 “アンティーク家具の魅力は、重ねてきた年月の分だけ味わいが増していくことだと思います。それに重厚感とか、素材の温かみとか、今の家具にはない良さがありますから。
この店に置いてある家具は、1940年代から1980年代のものが中心で、僕は特にミッドセンチュリーと呼ばれる1960年代前後のアメリカの家具が好きなんです。モダンで使いやすいから、今の時代の生活にもマッチすると思いますよ。“

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竹内さんは3ヵ月に一度、アメリカへ商品の買い付けに出かけるそうだ。およそ2週間かけて各州のショップやアンティークマーケットを駆け回り、自分が欲しいと思える家具を選んで仕入れる。時にはお客様からリクエストされた条件に合う家具を探して奔走することもあるのだという。

 “アメリカにはヨーロッパ各地からも家具が集まってきているから、いろんなものに出会えるんですよ。たまに昔の映画の中で見たのと同じ家具や雑貨に出会うこともあって、そんな時はうれしくて、すごくテンションが上がっちゃいますね。”

買い付けた商品は、すべて現地で自ら丁寧に梱包してコンテナに積み込むという竹内さん。お店の中にいるとなぜか心が和んでしまうのは、そんな竹内さんのアンティークに対する愛情が満ち溢れているからなのかもしれない。

窓から見える港の風景に魅せられて

とても洗練された空間の「COACHELLA HEAD」だが、ビル自体は何十年前も前に建てられたもの。最初に不動産業者と物件の下見に来た時には、天井の板がすべて落ちていて、壁の断熱材もむき出しになったままのひどい状態だったという。

 “でもね、窓から見える港の景色がすごく気に入ってしまって、ためらうことなくこの場所に決めたんです。この古いビルの雰囲気と重なって、僕の描いていたアメリカのソーホーっぽいイメージにぴったりだったんですね。”

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それからオープンまでの2ヵ月間で、スタッフの山本将太(やまもとしょうた)さん(24歳)とともに、解体や廃材処分をしたり、壁にペンキを塗ったりしながら店の内装を仕上げていったという竹内さん。
窓から海を眺めたり、時には港に出かけて気分転換をしながら、コツコツと自分たちの手で店をつくりあげたそうだ。

 “今でも、気がつくと海を眺めていたりするんです。特に夕陽が沈む頃の景色はきれいですよ。夏場にはすべての窓を開けるんですが、潮風がいい感じに入ってきて気持ちがいいし、やっぱりこの場所を選んでよかったなぁって思います。”

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大浜界隈の海沿いには、「COACHELLA HEAD」のように若いオーナーが手がけるカフェやユニークなお店が多いそうだ。出島漁港から大浜公園へ。休日には散策がてらショップ巡りを楽しんでみてはいかがだろう。大阪の海辺にある新たな魅力がきっと発見できるはずである。

<大阪産「泉だ… 出島漁港の記事|       

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COACHELLA HEAD

大阪府堺市堺区大浜西町23 ジェイアンドワイビル3F
最寄り駅:南海本線 湊駅より徒歩約10分
[営業時間]12:00〜20:00
[休業日]不定休
TEL :072-230-4363
http://www.coachellahead.com